2020年9月12日に、キャンドルウィックがCANVASと主催する次世代幼児教育研究プロジェクト(E4T – Early Education for Tomorrow)による第4回目のシンポジウムをオンラインで開催し、全国の教育関係者と保護者に参加いただきました。

プロジェクト設立から4年が経ち、幼児教育に関心のある方々に認知していただけるようになってきました。キャンドルウィックが自社ビジネスとして展開しているプログラミングツール「プリモトイズ キュベット」も、オンラインセミナーや研究会への参加を通してより成長し、教育関係者とのネットワークは全国的に広がっています。今後もより良い幼児教育の在り方を皆さんと一緒に考えてまいりますので、ぜひご注目ください。

今回のシンポジウムは、FutureEdu 代表・Learn by Creation 代表・Peatix.com 共同創設者の竹村詠美氏をモデレーターに迎え、Crimson Global Academy カントリーマネージャ・文科省中央教育審議会委員の松田悠介氏と、コビープリスクールよしかわみなみ園長の三鍋明人氏と共にテーマについて語り合い、視聴者の質問に答えました。

育てていきたい子ども像と、大人ができること~子どもが「好き」を探求できるために、まずは大人が夢や志を語ろう~

「育てていきたい子ども像」については、登壇者3名とも「好きなことを探求し、感性や表現力を育むこと」の大切さを挙げました。三鍋氏は幼児期を出会いの場と表現し、子どもたちに様々な体験の機会を提供し、先生や大人も一緒に楽しんで寄り添い、その中で好きなことを見つけてほしいと話しました。何が好きで楽しいかを子どもは表現しているけれど、大人は忙しさゆえその発信を見逃しがち。ゆとりを持ち、気づくことの大事さにも触れました。

ICTを活用することでより高度な内容を効率的に学べ、ダイバーシティに気づくきっかけにもなる

小学校でも徐々にICT教育が普及し始めている中で、どのような取り入れ方が理想かを話し合いました。松田氏はICT教育の良さについて、世界最高レベルのものを誰もが受けられる点と、個別最適化されたものを提供できる点を挙げました。オンラインでも子どもたちは深く繋がることができており、知識の習得を効率化できると言います。効率的な学習で空きができる分、習い事やプロジェクト学習に当て、好きなことを追求しオフラインの時間を持つスタイルを提案しました。

三鍋氏は、ICT機器を使うことで、作業の心理的なハードルを下げられる良さに触れました。例えば絵をコンピュータ機器で描くと、やり直したいと思ったら簡単に線を消すことができ、また、絵を描くまでのプロセスを可視化することでアイデアが生まれる過程を共有しやすくなったと言います。竹村氏は、大人が失敗させないように補助線を引き過ぎていることに触れ、ICT機器の活用で「良い失敗経験」を積むきっかけになり、作業の過程を仲間と共有することでダイバーシティに気づくきっかけにもなると述べました。オンライン学習では、子どもはより自立して学ぶ力が問われ、成長する姿を見てきたと言います。今後はオンラインとオフラインを循環させ、子どもたちがクリエイティビティを発揮できることを期待しました。

まずは大人が固定観念や意識を変えて、子どもに求めることを自らが体現していくこと

松田氏は自身が経験した進路や学校での指導経験を元に、「大人が正解を持っていて、子どもに正しい道を用意しているという意識が蔓延している」と指摘。大人の視点や常識で、子どもが本当にやりたいことを選べず、好きなことを阻害している場合があると言います。園児と関わる三鍋氏は、まずは教員が楽しみ、本気になって子どもと一緒に取り組むことを大切にしていると言います。竹村氏は、大人も子どもも「好き」なことにより焦点を当てて深くしていくことで、お互いの価値を認め、高めあうことができるのではないかとまとめました。シンポジウム終了後の参加者へのアンケートでは、「大人が変えるべきマインド」について、共感の声が多く寄せられました。

“大人が率先して楽しむ姿を子どもに見せること”。これは私たちの今後の大きなテーマになりそうです。

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