今週10月27日からは読書週間。本日は秋の夜長に読みたい、キャンドルウィック社員おすすめの1冊をご紹介します。最初の投稿は橋爪から。

この秋におすすめする1冊は、私が大好きでほぼ全作品を持っている作家さんの一人、原田マハさんの「たゆたえども沈まず」(幻冬舎)。

原田マハさんの書かれるジャンルは本当に同じ方が書いたの??と驚くような幅の広さで、どれもそれぞれの世界観が際立っていて、本当はおすすめは全く絞り切れません。中でも、森美術館設立時のキュレーターという経歴の途方もない知識と経験の上に丁寧な取材を重ねて書かれる数々のアート小説は、画家とその作品への愛が全てのページからあふれ出し、何度読み返してもどっぷりとその世界にはまる幸せを感じることができます。

「たゆたえども沈まず」はゴッホの半生に実在の日本人画商が絡み合い、どこからどこまでが史実でフィクションなのか、眩暈がするような異次元の世界に連れて行かれながら、130年前の世界と今、私が生きている世界が確実につながっているという現実を、ふとした瞬間に感じる特異な体験ができる作品です。続編的なゴッホの死を巡るアートミステリー「リボルバー」には、ゴッホとこれまた私が大好きなゴーギャンの親交がつぶさに再現された、夢のような世界が広がっています。「ゴッホのあしあと」、「美しき愚かものたちのタブロー」、「デトロイト美術館の奇跡」、、ゴッホが出てくる作品を追いかけていくのも楽しいです。

原田マハ作品を語りだしたら止まれませんが、先月から東京都美術館で開催されているゴッホ展に、小説に出てくる作品も展示されています。今のところ日時予約制で観覧者が一列で順路を行儀良くまわっているため、それぞれの絵の正面で、ゴッホが座っていたであろう距離感で、その絵を独り占めできる瞬間があります!<注:アップのタイミングで混雑状況が変わっていれば変更します>ゴッホの作品を観て、小説を読み返して、また作品を観に行く。12月までこんな贅沢な休日を繰り返せる幸せ。MoMAの星月夜もまた観に行けますように。

続いてはシルベスタから。

すっかり気温が下がった今週、ゆっくりと家の中で、本を読むのもいいですね。

一冊を選ぶのは結構難しいことではありますが、最近はビジネス書以外にも読める、心と時間の余裕ができたことが、本当にうれしいと感じています。本を通して、想像する景色、知る人の心、未知の世界。もともとフランス好きな私は、このアニエス・ポワリエの『パリ左岸』に夢中になりました。Left Bank: Art, Passion, and the Rebirth of Paris, 1940-50 Agnès Poirier

舞台は第二次世界大戦中のパリ。ナチス占領下から解放に至るまでの激動のパリの様子を、さまざまな著名な詩人、作家、画家などが登場しながら、その時代の人々の考えやその場の空気を描いていて、ボーボワールとサルトルが出てきたり! 世の中が不安な時にいろいろな芸術が生まれると誰かが言っていたけれど、そういうことなのねと納得する一冊でした。早く海外に出て、パリに行きたい!

最後は鈴木から。

私がおススメするのは、メイクアップアーティスの水野未和子さんの本「ディファインメイクで自分の顔を好きになる」(講談社)。よくあるメイク本とは一線を画す内容。メイクの本というより、自分を受け入れること、自分を好きでいること、自己を肯定して楽しむことが、自分を輝かせてくれると思わせてくれる一冊です!

年齢を重ねてくると、エイジングが気になったりして、自分の顔に不満ばかり。コロナ禍のマスク生活もなんなら半分顔が隠せてラッキーと感じてしまうことも…。この本では、一人ひとりの顔立ちやパーツをきわだたせ、魅力を引き出す"ディファインメイク"のメソッドを細かいティップスとは違うアプローチで解説されていて、やっと近い将来と思えるようになった“マスクをしない生活”でメイクをすることが楽しみに感じられるはずです。

ちなみに私の読書タイムは、ほぼ毎週末ある子どもサッカー遠征の待ち時間の車の中!秋は、窓を開けて気持ちがいい風を入れながら、一人になれる大事な時間です。